レーザー治療

 当院では、安全で効果的な医療を提供するため、半導体レーザーを用いた治療を行っています。半導体レーザーとは、半導体素子に電圧を加える事で発生するレーザーのことで、他のレーザーに比べて組織の内部に光が届きやすく、出力を変えることで様々な治療方法を選択することが可能になります。

疼痛緩和・創傷治癒

 痛みや炎症のある部分に対し、体の外側からレーザーを照射することで炎症反応を抑え、血流の改善により自己回復機能の促進が期待できます。関節の痛みや椎間板ヘルニアなどの神経機能改善、また皮膚炎や様々な外傷での治癒促進にも効果があります。当院で使用するスピンハンドピースは、モーターで回転させながらレーザーを照射するため、患部を優しく温めることが可能で、痛みや不快感が少なく、リラックスして治療を受けることができます。

腫瘍の蒸散・縮小

 体の表面にできてしまった腫瘍に対し、小さなものであればレーザー光を表面から照射したり、レーザーによる熱を利用することで蒸散させることができます。ある程度大きくなってしまった腫瘍に対しては、腫瘍内部にレーザーファイバーを挿入し、内部から熱を加える事で腫瘍組織を小さくすることができます(レーザーサーミア)。これらの方法は通常の外科手術に比べ侵襲が少なく、無麻酔または局所麻酔での処置も可能になる場合もあります。また、体の外側からスピンハンドピースを使用してレーザー光を照射することで、腫瘍組織に熱を加える方法もあります(マイルドレーザーサーミア)。腫瘍内部に直接レーザー照射するより効果は低減しますが、ほとんど痛みを伴わない安全性の高い治療方法です。

止血・切開・血管凝固

 手術時の組織切開や止血のため、レーザーメスとして使用します。レーザーメスは、体内に電気を流さないため電気メスより周辺組織への影響が小さく、術後の回復も速やかになります。また、ある程度の太さまでの血管は縫合糸を使わずに凝固切断が可能で、体内に残る縫合糸を出来るだけ少なくすることができます。糸を使用した止血や血管結紮が少なくなれば、その分手術時間は短くなり、全身麻酔のリスクも低減することができます。

歯周病治療

 高齢の動物では、そのほとんどが歯周病になっていると言われます。歯石が付着している場合はまず歯の表面を綺麗にし、その後に歯と歯肉の間(歯周ポケット)にレーザーを照射することで、殺菌と歯肉の引き締め効果が得られます。弱った歯肉を引き締めることで、歯の健康をより長く保つことができます。

逆さまつ毛

 逆さまつ毛が生えていると、眼の表面を傷つけてしまうため、抜いてあげる必要がありますが、通常は抜いてもまた生えてきてしまうため、繰り返しの処置が必要になります。レーザーによって逆さまつ毛の毛根部を破壊することで、半永久的な脱毛が可能になります。

緑内障

 緑内障とは、眼の中にある水(眼房水)が溜まることで眼圧が上昇する病気で、強い痛みを引き起こし、失明してしまうこともあります。初期であれば、レーザーによって眼房水の産生を抑制し、排出を促進することで、治療できる可能性があります。